眠りにまつわる名画のアーカイブ

── 芸術のなかで、人は眠りながら、何を語ってきたのか

まなざしの先に、眠る人がいた

芸術家たちは、なぜ「眠る人」を描き続けたのでしょうか。 それは、言葉を手放し、無防備になった魂の姿に、 “ほんとうの人間らしさ”を見出していたのかもしれません。



《眠る編み物の少女(Young Knitter Asleep)》
ジャン=バティスト・グルーズ(18世紀中期)

ジャン=バティスト・グルーズ《眠る編み物の少女》

糸を手にしたまま、眠りに落ちた少女。まどろみのなかに漂う、日常のやさしさと夢の入り口。 グルーズはこの一瞬に、「少女の無垢な沈黙」をとじこめた。
出典:Wikimedia Commons(Public Domain)



《寝室(The Bedroom)》 ─ フィンセント・ファン・ゴッホ(1888)

フィンセント・ファン・ゴッホ《寝室》

鮮やかな色で描かれた、アルルの小さな部屋。整えられたベッド、椅子、窓、絵──そのすべてが、 「安らぎたかった心」を語っているように見える。
出典:Art Institute of Chicago / Public Domain



《画家の息子の昼寝(Jean Monet Asleep)》 ─ クロード・モネ(1868)

クロード・モネ《Jean Monet Asleep》

モネが見つめたのは、幼いジャンの安らかな眠り。
草の緑や日差しのゆらぎを背景に、白い布のひだが柔らかく光を受け、
「親のまなざしに包まれた夢」がそっと描きとめられている。
出典:Wikimedia Commons(CC-BY-SA-4.0)



《聖ヨセフの夢》 ─ ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(17世紀)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《聖ヨセフの夢》

ロウソクの灯の中、静かにまどろむヨセフの前に幼い天使がそっと姿をあらわす。 「眠りと祈りの境界」が、やわらかな光の中に浮かび上がる。
出典:Wikimedia Commons(Public Domain)



《眠り(Le Sommeil)》 ─ ギュスターヴ・クールベ(1866) ※ヌード表現

ギュスターヴ・クールベ《眠り》

ふたりの女性が寄り添い眠る情景。肌と髪の重なりが、静けさと官能を同時に漂わせる。 眠りの中にある無防備な美しさ。
出典:Wikimedia Commons(CC0 / Public Domain)


《夢(Le Rêve)》 ─ パブロ・ピカソ(1932)

マリー=テレーズ・ワルテルを描いた1932年の作品。眠る彼女の姿には、官能と無垢のあわいが宿る。 現在も著作権保護下のため、画像は掲載していません。
▶ Wikipedia – Le Rêve (Picasso)